元来、日本的経営として、企業は人を大切にし、人の教育に力を入れているとされています。
皆さんの企業では、人への投資、中でも教育への投資はされていますでしょうか。
従業員1人当たりの教育研修費用として、産労総合研究所の調査では、2019年度の国内の中小企業299人以下の実績は、教育研修費用総額751万円で、1人当たりの額は40,588円でした。一人あたり1~2回程度、外部セミナーに参加する程度の金額が支出されています。
では、日本企業の教育研修費用は、高いのでしょうか、低いのでしょうか。
厚生労働省が出している2018年度労働経済の分析で、GDPに占める企業の能力開発費(OFF-JT費用)の割合を国際的に比較した場合、日本はわずか0.1%で、米企業の2.0%の20分の1、英独仏伊のヨーロッパ先進諸国の1.0~1.7%と比べても、10分の1以下となっています。
日本企業は、先進諸国と比べると、必ずしも教育投資が多いとは言えません。
OECDデータに基づく2020年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、49.5ドル(5,086円/購買力平価換算)で、米国(80.5ドル/8,282円)の6割の水準に相当します。OECD加盟38カ国中23位(2019年は21位)です。
日本は、石油や石炭などのエネルギー資源に乏しく、高齢化・人口減少が急速に進んでいる中、一人ひとりの労働生産性を上げることは喫緊の課題ですし、そのためには人材投資、リスキリング、キャリアチェンジ等が不可欠です。
行政、企業、個人が、これまで以上に教育投資を行い能力開発に注力していく必要性に迫られています。
具体的な目標を決めて取り組んでいきたいものです。